読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
cloverbooks' journal

梨木香歩さんの新作ファンタジー『岸辺のヤービ』

梨木香歩さんの新作長編ファンタジー『岸辺のヤービ』が届きました。表紙の絵がすごく素敵で、挿絵もたくさん入っています。

 

湖の岸辺に棲む、ふわふわの毛におおわれた、ハリネズミに似た不思議な生きものヤービとその家族、仲間たちの、工夫にみちた生活が、かわいらしい挿絵とともに描写されていきます。

 

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

 

 

ちかくの学校の先生である人間の「わたし」が、ちいさな生きものと出会い、彼らの暮らしについて、だんだんと知っていきます。

人間とちいさな種族との交流といえば、思い出すのは『床下の小人たち』です。

 

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: メアリーノートン,ダイアナ・スタンレー,Mary Norton,林容吉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/09/18
  • メディア: 文庫
  • 購入: 18人 クリック: 323回
  • この商品を含むブログ (97件) を見る
 

 

梨木さんが『床下の小人たち』をお好きなことを、私はたまたま知っていましたので、つい連想しましたが、似ているのは「人間とちいさな不思議な生きものとの遭遇、交流」という設定だけで、それ以外は、まったく梨木さんらしい、オリジナリティあふれる作品です。

語り手の「わたし」ことウタドリさんは、ボートやカヤックが好きということで、梨木さんご自身が投影されたキャラクターなのでしょうね。植物や小動物、鳥や昆虫、自然の観察と描写のこまやかさが、わあ、梨木さんの作品だわぁ~とファンにはとてもうれしいです。水辺にくらす動物たちをとりまく環境は少しずつ確実に厳しくなっていて、その気配をヒリヒリと感じながらも、仲間が助け合って、ときどきケンカもするけれど、自然の造形を加工しながら知恵を合わせて生活しているようすを読んでいると、ホッとします。

 

梨木さんの文章は、背筋がすっと伸びている感じがする、とても毅然とした文章だと思います。そして、生きることへのベクトルがまっすぐ力強いのです。梨木さんの文章を読んでいると、信頼できる、尊敬できる人柄が伝わってきて、そこが魅力的だといつも思うのです。

 

えっと、それで、なぜ私が、梨木さんが『床下の小人たち』を好きなことを知っていたかというと、『借りぐらしのアリエッティ』の公開前、東小金井のジブリの試写室まで梨木さんにおいでいただいて、『借りぐらしのアリエッティ』の試写を観ていただき、エッセイを書いていただいたことがあったからです。このエッセイがまたほんとうに素敵なんです。『借りぐらしのアリエッティ』の劇場パンフレットと、『スタジオジブリ絵コンテ全集17 借りぐらしのアリエッティ』に収録させていただいています。

 

スタジオジブリ絵コンテ全集17 借りぐらしのアリエッティ

スタジオジブリ絵コンテ全集17 借りぐらしのアリエッティ

 

 

ですから、『岸辺のヤービ』を読んだとき、「わあ、梨木さん版の『ちいさな人たちの物語』だ!」と嬉しくなったのでした。

この物語はシリーズとして続いていくようなので、とっても楽しみです。